大気汚染予測システムの説明

公開データの概要
大気汚染濃度予測図で示されているのは、国立環境研究所の大気汚染予測システムで計算さ れた光化学オキシダント、硫酸塩エアロゾルおよび微小粒子状物質 (PM2.5) の地上付近の濃度の予測値です。当日の3時から翌日の24時までの約2日間の予測値が毎朝7時に発表されます。
大気汚染予測システムの概要
本システムは気象計算と大気汚染計算の二つのサブシステムで構成されています。 まず、気象計算システムは、気象庁の数値予報データ(GPV)を基に、翌日までの風、気温、気圧、水蒸気量等を計算します。 続いてそれらの気象データを基に、大気汚染計算システムで光化学オキシダント、硫酸塩エアロゾル、微小粒子状物質 (PM2.5) の濃度を計算します。 その際には、大気汚染発生量データを用い、反応、輸送、拡散、地表面等への沈着などの効果を含めて計算しています。
計算領域は、東アジア域、日本域を対象としており、東アジア域の計算結果は日本域の計算条件として使用しています。 このように計算することによって、日本域の計算において、アジア大陸からの長距離輸送の影響を考慮することができます。 コンピュータの中で、東アジアは100km、日本は5kmの大きさで区切られた正方形毎に、汚染物質の挙動を表現した方程式を用いて計算しています。 日本域として計算された結果を、東日本、西日本、北東北、南東北、関東、中部、関西、中四国、九州の各地域に分けて見られるようにしています。
本システムは、国立環境研究所が、全国の地方環境研究所や電力中央研究所などとの共同研究によって開発したものです。
光化学オキシダント、硫酸塩エアロゾル、微小粒子状物質 (PM2.5)
●光化学オキシダント
大気中の窒素酸化物や炭化水素が太陽の紫外線を受けて化学反応を起こし発生する汚染物質で、光化学スモッグの原因となり、 高濃度では、粘膜を刺激し、呼吸器への影響を及ぼすほか、農作物等植物への影響も観察されています。
●硫酸塩エアロゾル
工場や自動車などから排出される二酸化イオウが大気中で化合、吸着し、微小粉じん(エアロゾル)となったもので、 粒径2.5μm以下の粉じんの主要構成粒子が硫酸塩エアロゾルです。 火山性のものなど自然起源のものもあるが、人為汚染の割合を示す指標となります。
●微小粒子状物質 (PM2.5)
大気中に浮遊する粒子状物質であって、その粒径が概ね2.5μm以下の粒子をいいます。粒径がより小さくなることから、肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器疾患、循環器疾患及び肺がんの疾患に関して総体として人々の健康に一定の影響を与えているとされています。
大気汚染に係る環境基準
人の健康の保護及び生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準として、終局的に、大気、水、土壌、騒音をどの程度に保つことを 目標に施策を実施していくのかという目標を定めたものが環境基準です。
●光化学オキシダント
1時間値が0.06ppm以下であること。(48.5.8告示)
●微小粒子状物質 (PM2.5)
1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること。(H21.9.9告示)
環境基準による大気汚染の状況の評価
環境基準による大気汚染の状況の評価については、次のとおり取り扱うこととされています。
●光化学オキシダント(短期的評価)
測定を行った日についての1時間値の年間最高値を環境基準と比較して評価を行います。
●微小粒子状物質 (PM2.5)
長期基準に対応した環境基準達成状況は、長期的評価として測定結果の1年平均値について評価を行うものとします。 短期基準に対応した環境基準達成状況は、短期基準が健康リスクの上昇や統計学的な安定性を考慮して年間98パーセンタイル値を超える高濃度領域の濃度出現を減少させるために設定されることを踏まえ、長期的評価としての測定結果の年間98パーセンタイル値を日平均値の代表値として選択し、評価を行うものとします。 測定局における測定結果(1年間平均値及び98パーセンタイル値)を踏まえた環境基準達成状況については、長期基準及び短期基準の達成若しくは非達成の評価を各々行い、その上で両者の基準を達成することによって評価するものとします。 ただし、年間の総有効測定日数が250日に満たない測定局については、環境基準による大気汚染の評価の対象とはしないものとします。
光化学オキシダント注意報、警報
●注意報
光化学オキシダント濃度の1時間値が0.12ppm以上で、気象条件からみて、その状態が継続すると認められる場合に、 大気汚染防止法第23条第1項の規定により発令されます。
●警報
各都道府県等が独自に要綱等で定めているもので、一般的には、光化学オキシダント濃度の1時間値が0.24ppm以上で、 気象条件からみて、その状態が継続すると認められる場合に発令されます。
●緊急時の措置の概要
大気汚染防止法においては、光化学オキシダントの濃度が高くなり、被害が生ずるおそれがあるときは、 都道府県知事等が注意報を発令し、報道、教育機関等を通じて、住民、工場・事業場等に対して情報の周知徹底を迅速に行うこととなっています。 また、この際、光化学オキシダントの原因物質である窒素酸化物及び炭化水素類の排出削減のため、工場・事業場等に対しては、ばい煙排出量の削減について、 自動車の使用者に対しては運転の自主的制限について、それぞれ協力を求めることとなっています。
●発令時の注意
酸化性物質である光化学オキシダントの濃度が高い状態(0.12ppm以上で目がチカチカする等の健康被害がみられるようになる)が続くと、 目や喉に刺激を与えます。 注意報・警報が発令されているときは、屋外での運動を中止し、風向きに考慮して家の窓を閉める等の措置をとって下さい。 手足のしびれ、呼吸困難、失神などの症状が万一生じたときは、医師の手当を受けて下さい。 通常、目がチカチカする、目が痛い等であれば、目を洗う、うがいをするという処置を行い安静にしていれば大丈夫です。